ヒトチオレドキシンは、種々のストレスにより誘導され、抗酸化ストレス作用を示す蛋白質です。淀井淳司らの研究グループは、遺伝子組み換えヒトチオレドキシン(rhTRX)を腹腔内投与すると、抗癌剤のひとつであるブレオマイシンによる間質性肺炎や、サイトカイン血症に伴う急性肺障害を軽減できることを明らかにしました。また、rhTRXの静脈内投与によって、白血球の炎症部位への血管外漏出を抑制できること、さらに肺の虚血再灌流障害が抑制されることも明らかにしています。
これらの基盤的研究の成果を基に、京都大学医学部附属病院において、間質性肺炎とも関連の深い疾患である急性呼吸促迫症候群/急性肺障害を発症した患者さんを対象として臨床研究(探索医療)を実施し、rhTRXの医薬品開発に取り組んでいます。